miyakun
技術開発本部 取締役本部長
北海道大学大学院を卒業後、ソニー株式会社で勤務。主にディスプレイデバイス及びその関連についての設計開発を担当する。ソニー退社後は韓国SAMSUNGで、同じく新ディスプレイデバイス開発に従事。2010年よりフジデノロに入社し、技術開発部に配属され現在に至る。
1. 所属部署のミッションと、ご自身が行っている仕事内容を教えてください
技術開発本部のミッションは、自社製品へ応用する独自技術開発、及び主に医療用の特殊用途装置開発です。前者の例として超高感度磁気センサやバイオセンサ開発、後者の例として中性子線治療用特殊寝台や、乳がん陽子線治療システムがあります。当社独自のiMus超高感度磁気センサは脳活動を計測できるような世界初の常温動作脳磁計測システムを目指しています。バイオセンサ技術は、現在、Comiluという世界初のポータブルヒスタミン定量評価装置を実現し、将来は様々な食の安全やおいしさ指標、また医療健康に役立つポータブルシステム実現を目指しています。医療用患者特殊寝台は、患者位置精度を向上させることにより治療精度を向上し、放射線治療の効果を高めることに貢献する技術です。
2. 「この仕事をやっていてよかった」と思う瞬間はどんなときですか。その理由もお答えください
私は解析屋です。製品の動作原理を理論的に解明すること、あるいは理論的根拠を明確にすることが、最も仕事の中で自分が「やった」と心の中で叫ぶ瞬間です。なぜそうなのか、私自身がそうできているからとしか本当は言えないのですが、理屈をつけるならば、理論的理解をすることによって、まさに視野の地平が開けるからです。実験結果や経験を積み重ねても、正確にはその範囲でしかものを言えません。その範囲を超えたものはすべて推測であり、しかしその根拠がありません。理論的理解ができれば、今見えているものだけではなく、見えていないものもこうなるだろうと正確に予測できるからです。
3. これから仕事で新たに挑戦したいことについて教えてください
当社独自の磁気センサiMusを用いた脳磁計を実現することです。iMusは常温動作ですので、既存のSQUID(超電導量子干渉デバイス)は液体ヘリウムでセンサを冷却しなければならず、大変高価です。また近年の液体Heの高騰で、維持費も大変高価です。これら費用要因により、脳磁計は普及しておりませんが、しかし脳磁計の応用範囲は大変広く、例えば近年大変な問題となっている老齢による技能低下が引き起こす交通事故、またてんかん患者の交通事故などは、脳磁計によって各人の現在の状況をより正確に客観的に捉えることによって、未然に防ぐことも可能となるかもしれません。年齢やあるいはてんかんは、各人によって状況がばらばらであり、一律に規制することができません。また精神疾患、例えばうつ病なども脳磁計によりより客観的な指標で診断することが可能となるのではないかと考えています。
4. 働く環境として、フジデノロのどこに魅力を感じているのか教えてください
最も魅力を感じているところは、仕事の進め方の多様性を認め、共存していることです。それは渡邊社長、社員一人一人の努力の集積であり、それが生きていると感じています。もちろん、なんでも認め合う、などという甘っちょろい環境ではなく、互いに議論し合いときには否定し合います。それでも真剣さを互いに認め合うことで、アプローチの多様性がどんどん成長していくのです。
5. 「フジデノロで働いて良かった」と思う瞬間はどんなときですか。その理由もお答えください
Comiluや超高感度磁気センサや医療用特殊装置など、フジデノロ入社前は全く触れてこなかった分野で仕事をし、次第にその分野の理解が深まり、またその分野に携わる方々と一緒に仕事をし、互いに理解が深まったときです。農水省水産技術研究所の研究員の方と陸前高田の漁港でフィールドワークをし、漁港のおいしい昼飯を一緒に食べました。医療用装置を共同開発したドクター、放射線技師の方々と、指宿市の、地元の人しか見つけられないだろう人家のような焼き肉屋で一緒に焼き肉をつつき、今まで食べたことがないような黒牛・黒豚の美味さに驚愕したことを今でも覚えています。